倍音はもちろん目に見えないものですが,周波数の解析アプリを使えば目でも見る事が出来る様になります。
倍音を正確に判断するには特別な聴力というより音の特徴を捉える方法を知っている必要があると思います。それで,倍音の特徴を理解するには最初誰かに注目するポイントを教えてもらう必要があります。
そのために私はセミナーを開催してそこで
(1)倍音
(2)揺れ
という要素を実際にギターを使って比較して説明します。すると多くの方がその特徴を聞き分けられるようになります。
その後はいつもその音に注目するようになるので,その判断基準を自分の中に持てるようになります。
いつもマーチンに触れている楽器店の店員でも,既にD45を持っている人でも倍音の種類による違いの判断方法を一度誰かから教わらないとそこに達するのは難しいかもしれません。こういう倍音について教えてくれる先輩が少ないことも理解が進まない原因の一つかも知れません。
ギターを判断する時「鳴る鳴らない」という概念の方が多いのも倍音の理解が進まない原因の一つかも知れません。鳴る鳴らないは音量の大小の概念に近いかも知れません。
それはレストランと似ています。大盛で味が普通の店と味が美味しく量が普通の店ではどちらが好きでしょうか?音量の大きさは絶対的な要素ではないのです。味の違いを感じられるようになる方が絶対に楽しいのです。
さらに,これまで環境倍音と構造倍音という線引きが曖昧だった事も倍音を定義する事を難しくさせたと思います。どちらも倍音なのですが,発生原理が違うものです。
また,構造的に倍音を発生するギターやウクレレが少ないのも倍音の理解が曖昧な一つの理由と言えます。地方だと楽器店の店員を長くやっていても倍音を発生するギターに出会った事がないという場合もあり得ます。地方では縦ロゴを置いてないショップもあると思います。
構造的に倍音を発生するギターの代表例はマーチンD45を初めとする40番台,クラシックギターではイグナシオ・フレタ,ウクレレでもマーチンのstyle5やハワイのペガサスなどの非常に種類が少ないのが現状です。
でも客観的に見ると鉄弦の世界は有利なのです。マーチン社がメーカーとして倍音を発生するギターを作っているのですから。それに対してクラシックギターの世界では構造的倍音を発生するメーカーは聞いた事がありません。フレタはメーカーというより個人工房のレベルだと思われます。
クラシックギターでもフレタには倍音があります。
クラシックギターでも倍音の効果は絶大です。録音して聴いてみるとその差は歴然としています。
2006年製フレタによる演奏例
構造的倍音を発生するクラシックギターは各弦の分離,立体感,遠達性どれをとっても違います。これに耳が慣れると普通のクラシックギターは鼻詰まりの感じに聞こえてきます。
OTS LABではもっともっと多くの人に倍音の豊かなギターを身近に体験して欲しいと強く願っており,倍音を感じられるギターやウクレレを手の届く範囲の値段で提供したいと願っています。
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